なぜ、ビスポークを?case.20

なぜ、ビスポークを?

ビスポーク=オーダー
と、一言でまとめてもオーダーする理由やこだわりは人それぞれ。

“なぜビスポークを?” と題して
オーダーを決めた理由や仕様をはじめとしたこだわり、色々な想いをインタビュー形式に伺いご紹介。
少しでもビスポークをする時の参考になれば、と思います。

今回はお客様のSさん。3年前にオーダーされ現在では見事なエイジングのジャケットとなりましたが、Sさんのライダース愛についてもご紹介したいと思います。

(過去の なぜ、ビスポークを?はコチラ)

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NNY:オーダーから3年経ち、エイジングも最高ですね!今まで色々なライダースを着用されてきたとの事ですが、NNYはいつご存知に?

S:結構な数を着てきましたね。もちろんどれもカッコいいんですが、自分の中でストーリーがなかったんですよね。
それで息子にあげたり、売ったりしてる中でNNYがポップアップ出店しているのを見て知りました。
その時は話を聞いてその後メールなどで相談させてもらい、もう一回話聞きに行こうかなと車で向かっている最中に「あ、今日作ろうって」決めました(笑)

NNY:形はもうその時点で決まっていたんですか??

S:そうですね、メールでジャケットの形とかは大体相談していたのでどんなのを作るのかはほぼ固まっていました。

NNY:革は元々お好きということですが、ハマり始めたのはいつ頃でしたか??

S:16歳の時です。先輩の持っていた革ジャンを1万円で買ったのがきっかけですね。
当時好きだったバンド名を背中に自分でペイントして着てました(笑)そして18歳くらいの時にシブカジって文化が生まれて、vansonがすごく流行ったんですよね。渋谷に行ったら裸にバンダナ巻いてvanson着てエンジニア履いて。
当時はレッドウィング狩りとか◯◯狩りとか色々ありましたし、革ジャンを着て繁華街に行くのはそれなりの覚悟がないと行けなかった時代でした(笑)
人を納得させるだけのオーラとか着こなしをしてないとも舐められるっていうのがありましたよね。その後、バイクに乗るようにもなって長年ハマってます。

NNY:革色は珍しい色味のブルーですが青にこだわりがあったんですか??

S:そうですね、青いジャケットはずっと憧れてたんですけど、メジャーな有名ブランドっていう選択肢は僕の中ではなかったのもあって欲しいと思えるものに出会えなかったんですよね。
NNYでオーダーをする前によく行くショップスタッフさんとも話してたんですけど、青の革ってあんまりないんですよね。その話をノーノーイエスで話したら担当者さんから「極力イメージに近い画像をたくさん持ってきてください!」と言われて、理想とする色をつくることが出来て自分だけの青が完成しました。
今はエイジングで色味も渋くなってきましたけど、完成時はちょっとしたステージ衣装ってくらいの鮮やかさでしたね。

NNY:確かに、仕上がり当初とは革の表情かなり変わってますし、結構着込んでくれてますよね!

S:いやもう、かなり着てますよ笑
家帰って部屋着としても着てます。エイジングさせたいとかじゃなくて、ただ着ていたいだけ(笑)寝る時も夏以外は大体着てます(笑)

NNY:パジャマとしても着用されているとは(笑)裏地も特徴的ですがどうやって決めていったんですか??

S:これは「お任せ」しました。丸投げです(笑)何か一つでも条件くださいって言われましたけど、それもなしですって言って…(苦笑)
あれこれ悩んでくれてましたね(笑)
自分も彫師だった頃はタトゥーを彫るときに「お任せします」って言われるとめちゃくちゃプレッシャーだけど、その人のこと真剣にずっと考えるから一番創作意欲が沸きましたし、作り手として楽しかったので。
なので僕も絶対にクレーム入れないからお任せにさせて欲しいって伝えて、途中の相談もなしでお願いしますと。
で、仕上がって見た時さすがだなあって思いましたね。
狙ったのかどうかわからないですけど、メタリカで当時一番売れたブラックアルバムを彷彿とさせるというか、そのジャケットが真っ黒な中にメタリカって文字とうっすら蛇が入ってるデザインなんです。

NNY:狙ったかどうかは確認しなかったんですね?

S:敢えて聞きませんでした。どちらにしてもすごいし、真相は敢えて謎にしておこうと。

NNY:いずれにしても気に入っていただけたようで嬉しいですね

S:実はこのジャケットを着るようになって1年くらいの間で、当時他に持っていた革ジャンを全部手放したんです。
もちろんこだわったかかっこいいの集めてたんですけど、着る機会がなくなってしまったんですよね。

NNY:そうだったんですね…!でもレザーは次の人へ引き継げるのもいいところですしね。

S:そうそう、集めたりするのも楽しみの一つだし飾るのも楽しみの一つだと思うんですけど、自分は着るのが楽しみなのですごく勿体無いと。他に着てくれる人がいるのであればその方がいいなと。
このジャケットを手に入れるまでは革ジャンを集めたり、今日はどれ着ようかってのが楽しみだったところはあったんですけど、気づくとこのジャケットに自然と手が伸びるようになっていて「この革ジャンを着ていたい」っていうように変化しましたね。

NNY:オーダーで印象深かったところはありますか?

S:作りたいものの引き出し方が今まで体験したオーダーと違ったところですね。「どういうのが作りたいですか?」ってところにまずこっちから投げるじゃないですか、それに対して自分らができることを説明するっていうのが普通のオーダーだと思うんですけど、そことは違う角度から引き出された感じでした。事務的な機械的ではないコミュニケーションが一番印象に残りましたね。この人に作ってもらいたいってのを感じました。

NNY:その中でジャケットのディティールも詳細を詰めていったんですね。
ラペル部分の折り返し位置もかなり深めで特徴的ですよね。

S:そうそう、ファスナーを開けてるときにはテーラードジャケットみたいな雰囲気にもしたかったんです。
出来上がったものを見るとやっぱり自分の中で今まで着てきた服の好みが反映されてるなと思います。テーラードが元々好きだし、このジャケットも基本的には英国風のスタイルだとは思うんですけど、敢えて襟の角を尖らせないで丸っこくしてアメジャンの要素も少し入れたり、星が好きなのでその要素も入れていたり。

NNY:実際にジャケットが出来上がってきた時の印象はどうでしたか?

S:きっと皆さんああすればよかった、こうすればよかったって色々あるかと思うんですけど、僕の場合これは完全に完成形だなと。もし形を変えるなら、とかここを変更するなら、って何度考えても今の形にたどり着いただろうなと思います。
最初にお話しした通り、人生で手にしてきたライダースはかなりの数でしたけど、ここに辿り着くまでは僕もここはこうすればよかったとかあったんです。でも当時の担当のスタッフさんが「これが最後の1着にしますよ」って言ってくれて、本当になりました。

NNY:お家でもほぼ着てくださっているということですが、出かける時はいかがですか?

S:もちろん出かける時も着ます。出かける時はライブのステージに立つような感覚と言いますか背筋を伸ばすような感覚と言いますか「今日はこれと合わせてバッチリ決めて気持ちのギア上げていこう!」って。家を出て家に帰るまでの時間は自分の世界を楽しもうって。
でも今は昔と違って、革ジャンを着ていく場所がないよねっていうのは仲間と話したりします。
夜の繁華街に入ったらスイッチが切り替わって、今日はビシッときめていくぞみたいな。そんな場所が昔はあったんですけど、雰囲気に酔いしれられるような場所っていうんですかね。夜の薄暗いバーとか。どこで何してるかわからない人と出会うような場面が減ったなと。
もっと革ジャン好きな人が着ていく場所や機会があればいいなとは思います。

NNY:これから初めてオーダーする人にアドバイスをお願いします!

S:トップバッターでホームランを打つのが難しいっていうのはあると思うんですよね。あとはその人がどれだけいろんな服を着たかってのには左右されるのかなと。自分の中での引き出しがどれくらいあるかっていうところに。でも結局出来て仕舞えば全部かっこいいと思うんですよ(笑)
ただ、それがどういうストーリーでできたジャケットなのかによって思い入れとか愛着が変わってきたりするんですよね。やっぱり今でも僕はジャケット見ると当時の担当の方の顔を思い出すし、その時の記憶も蘇って「楽しかったな~」って思うんですよね。
一緒に積み木をガチャガチャして遊ぶような感覚でした。なので、形や完成形も大事ですけど、そういう人との関わりや温度感を存分に楽しんでオーダーするのがいいんじゃないかなと僕は思います。

NNY:ありがとうございました!

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