なぜ、ビスポークを?
ビスポーク=オーダー
と、一言でまとめてもオーダーする理由やこだわりは人それぞれ。
“なぜビスポークを?” と題して
オーダーを決めた理由や仕様をはじめとしたこだわり、色々な想いをインタビュー形式に伺いご紹介。
少しでもビスポークをする時の参考になれば、と思います。
今回はお客様のHさん。リアルな声を聞かせてもらえそうです。
(過去の なぜ、ビスポークを?はコチラ)
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NNY : なぜレザーウエアをオーダーをしようと思ったのでしょうか?
H : レザーは昔から好きだったし、10年前くらいから既製品は何度も買っていたんだけど、当時はまだ“自分が何が本当に好きなのか”っていうのをわかっていなかったりもして。
それから自分で買ってみた服を着ていくうちに、だんだん“この部分がこうだったら”っていうのが出てくるんだよね。着心地もそうだしデザインも。
それを繰り返してきて“自分の本当に欲しいイメージ”っていうのがちゃんと見えてきたところで「そろそろオーダーで自分の欲しいものの集大成を作ろうかな」って気持ちになって、それでアルチザンメニューでオーダーすることにしたんだよね。
NNY : そうだったんですね、この革(Guidi Calf)を選んだ理由があれば教えてください。
H : 10年前くらいにGuidiの靴を知ってこの革に惚れ込んだのがきっかけ。
独特の存在感があって、履いたら1発で馴染んで「何これ!?」って感動して購入したんだよね。この革でいつかレザーウエアを作れたらいいなっていうのはずっと思ってた。
あとはいい香りがする!独特な甘い感じの匂いがするんだけど、香りだけでこの革ってわかる凄さがあるよね。香りもそうだけど見た目も質感も独特で、どこの革って言われなくてもすぐ「Guidi」の革ってわかるくらいの独特さ。
この唯一無二の存在感はやっぱ凄いなと思う。
NNY : 今回のオーダージャケットで思い入れの強い部分はありますか??
H : それはやっぱり俺はジッパーフリークだから、革と同じくらいジッパーにはこだわったかな。普段ノーノーイエスでは取り扱ってないけど、イタリアの“ラッカーニ”を使ったレザーウエアを作りたくて。独特の光沢感、滑らかさとボリューム感、このジッパー1つでアルチザン感があるっていうところが他には代えがたいところで。取り寄せのことも確認してもらって、今回使うことにしたんだよね。
あとはギミックの効いたジッパーの縫い付け方。フロントジッパーの下の部分が縫われていない仕様のこと。元はミリタリーでこの仕様が使われていて、兵士が着脱に時間がかからないように考えて作られたものなんだけど、現代のアパレルでもその仕様の機能やデザインを採用していたりして。
オーダーの時に元ネタの仕様を見せて、これをやりたいって言ったんだけど、想像を超えた形でアレンジして作ってくれて。普通だったらもっとファスナーテープが剥き出しになってしまうんだけど、着脱後はしっかり隠れるようになってるんだよ。
ミリタリー要素や機能性を超えて、レザーライダースに落とし込んでこの機構を作ってくれたのが嬉しかったね。
NNY : 拘り箇所を上回る仕上がりになって一安心です。オーダーの中で悩んだところなどありますか?
H : 選んだメニューが“アルチザン”なだけあって、なんでもできちゃうところが悩みどころ。なんでもできるからといってあれもこれも詰め込みすぎるとバランスがおかしくなっちゃうから。
昔、仕事で音楽をやっている中で曲作りもしてたけど、作ってる時って楽しいからあれもこれもやってみたりして、ふと後で1歩引いてみると「うわあ、やりすぎちゃったな…」ってことがあったのを思い出しながら。もちろん橋本さん(NNYデザイナー)もコントロールしてくれるけど、自分で意識するとしないじゃ違うから。
NNY : 似たような質問になりますが、オーダー時に不安に感じた部分は?
H : 不安は少ない方だったとは思うけど、自分のやってほしいところって、使いたい“革”や“ジッパー”だったり要素の“点”の部分でしかないから、その点をどう繋ぎ合わせるのかはわからないじゃない?
“自分がこうしたい”ってこだわりの薄い箇所、例えば背中の箇所がどうなるのかだったり。最終的にどう繋ぎ合わさるのかがわからないっていうのは、楽しみではあるけど不安ではあったかな。
ただ、仮縫いっていうものがあるメニューだったから、革の代わりの素材でできたジャケットをフィッティングしてサイズやデザインの確認ができて良かった。
その時に腕のジッパーの高さやポケットの位置が確認できたり「あ、背中のラインてこうなってるんだ」とかね。点でしかなかった要素が線で繋がっていくのを感じて見ることができるっていうのは、自分が作りたいものを作る上で素晴らしいことだよね。
NNY : 一度仮縫いを挟むと全体のバランスも確認が出来るのは大きいと思います。では、仕上がったジャケットに点数をつけるなら?
H : 90点。これは減点とは違って、さらに10点分こうしたいっていう次の理想が見えたから。
例えば内ポケットって“有って当たり前 ”なものだと思って今回つけたんだけど、実際にはそんなに使っていないし、この革だと厚みが増して硬くなる。着心地を考えると自分にとっては必要なかったなとか、次に削ぎ落とせるポイントだなと。
あとは1回作ったからこそわかる細かいところ。きっと5年くらい経ったところでまた見えてくるところもあるだろうし、「意外とこれでいいんだ」とか。それを楽しさとして見れるとリピートしたくなるよね。
ちなみにフロントのポケットはジッパーなしにして正解。手を入れた時にジッパーのギザギザが手に当たるのはストレスだから。これは俺が色々経験してきた中でちゃんと好きなものを選択できたことの1つ。
バックサイドにつけたジッパーは当初俺は背中心につけようとしていたんだけど、座った時にカチカチなりやすいですよっていうアドバイスがあって、ああなるほど、と。
NNY : 実際に仕上がり、着用してみていかがですか?
H : 俺の断片的な要望からノーノーイエスが汲み取って全てが機能するように、シルエットがうまくいくように作ってくれたのをすごく感じる。破綻せずにずっと機能し続けられるっていうのを感じられるのはすごいことだと思う。
NNY : では最後に、このオーダージャケットのお気に入りスタイリングは?
H : このジャケット自体がラグジュアリー感が強いから、ハードになりすぎないようにスニーカーとかスウェットと合わせてラフ着るのがお気に入り。
NNY : ありがとうございました!!!
※BespokeBook Ⅴ 掲載インタビューにオフショットを追加してブログに掲載させて頂いております。
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