特別な証 / ラウンドカットの秘密

以外と身近な存在
「革のダイヤモンド」と言われるくらい、革の中でも特別な存在であるコードバン。
紳士靴に使われる事が多いので、履かない方にはあまり馴染みがないかも知れません。
ですが、実は一部のランドセルにも使用されています。
子供の頃に乱雑に放り投げていたランドセルですが、知らないからこそ出来た荒技ですね、、、。

所作の中でコードバンにしか施していないラウンドカット。
ご存知の方もいるかも知れませんが、所作のラウンドカットが
どのようなものなのか?と なぜそうなっているのか? を革の説明と共に改めて。

ラウンドカットとは?
写真の様に一番表にくるフタ部分が曲線を描いているものをラウンドカットと
呼んでいます。

 

 

なぜ曲線になるのか?順を追って説明していきます。

 

コードバン層を含む革しかコードバンと呼びません。
この「コードバン層を含む」とはどういう意味なのか?
簡単に説明すると、革の層に違いがあります。

まず、こちらが通常の革の構造

下がコードバンが含まれる革の層

「コードバン層を含む」の意味がわかっていただけましたか?
目には1枚の革に見えても、じつは層の重なりが革になっています。

馬のお尻から取れる「コードバン層を含む革」をコードバンと呼び
このような形状は「メガネ」と言われています。
(由来はそのまま形がメガネに似ているからだそう)

コードバンは馬のお尻の革からしか取れません。
コードバン層が馬のお尻部分にしか入っておらず、その形にあわせて
皮から革へ加工するのでコードバン革はメガネ型の形状になるのです。
※なぜ馬のお尻からしか取れないかは分かっていないそう

ここまでの説明で「じゃあコードバン層は見えてないの?」と思った方も
いらっしゃると思います。
そう、このままではあの独特の光沢感のある革にはならないので
ここから上の層を削って仕上げをします。

通常、革の厚みを薄くする時は機械に通して行うのですが、コードバンの場合
どこまでコードバン層が入っているかわからない為、1枚ずつ手作業で削って行きます。
まさに職人技でタンナーさんも「この作業が一番難しい」と仰っていました。
この削り出す作業が、宝石の採掘作業に似ている事や革の希少性から「革のダイヤモンド」と呼ばれるのです。
余談ですが、コードバンに水滴が付着すると水膨れのようになってしまうのは
抑えた繊維が水分で浮いてしまうためです。
なので、水分が付着したらなるべく早く水分を拭き取り、先の丸い棒などで上から圧を掛ける事が跡を残さないコツです。

唯一無二の経年変化
ここまででコードバンがどういった革なのか、なんとなくお分りいただけたかと思います。
工程からして特別なのですが、一番お伝えしたいのはやはり経年変化。
レザーアイテムを使う方には、使用に伴う変化を楽しみたい!と思われる人も多いでしょう。コードバンの経年変化は唯一無二です。

なにが違うのか、一言で言えば「光沢感」です。
経年変化でも革のダイヤモンドと言われる所以を実感していただけるはずです。


特別な証

ここまででメガネ型になる理由はわかっていただけたと思いますが、
そこに1枚革で作る所作の型を合わせると…

大きさが若干足りずこのようにフタ部分が少しはみ出してしまう為、ラウンドカット仕様になっているのです。
コアな所作ユーザーはこのラウンドカットを見ただけでコードバンと気づくはずです。
※コードバン層のサイズによりはみ出ないものもありますが、統一して
ラウンドカット仕上げしています
※通常展開のコードバンはブラックですが、写真の革は限定入荷した革の為
色味が異なります。今後どこかの店舗でご覧いただけるかも?

ラウンドカットそしてコードバンが特別な理由、わかってもらえましたでしょうか?
通常の革には存在しない層を含んだ革を手作業で仕上げた特別なコードバン革
お手元にとる機会がございましたらコードヴァンの表情と共に曲線部分にも
目を向けていただけると幸いです。

 

nom jr.